組織
物部川土地改良区連合とは、その歩み、組織機構
(1)物部川統合堰の成り立ち
野中兼山像(高知県土佐郡本山町 帰全山公園) |
物部川統合堰の歴史を振り返ると、江戸時代初期に約30年間、奉行職として土佐において数多くある巨大土木プロジェクトのひとつとして造った野市上井堰、野市下井堰という巨堰が今の物部川統合堰の始まりです。
野中兼山(以下、「兼山」という。)は、そもそもこの一級河川である物部川自体が氾濫を繰り返した暴れ川であるため、河川改修を行いつつ、山間部から平野部にいたる付近において上流から山田堰、野市上井堰、野市下井堰という巨堰を造りました。貧困な土佐藩財政の経済事情から、石高の向上は藩の存続上も必須のことでありました。この時代、この香南市(旧・野市町)では600haを越す未開の台地、まさに茫漠たる荒野であり、西を物部川が流れるが、高低差がありその利用を拒んでいました。当地は兼山の亡父・直継が粛々とその“野市開拓”を行っていましたが、兼山はその事業を超越的に引き継ぎ、数キロ上流ある位置に巨堰、野市上井堰等を計画し、延々と水路を掘り、この地を潤わせたのでした。
物部川統合堰の全景(この場所は、高知県香美市土佐山田町町田であり、通称「町田堰」とも呼ばれる) |
現在の物部川統合堰の旧堰は藩政時代を経て維持されながら、昭和30年代後半に歴史的な変革がありました。兼山没後、さらに下流に4堰が造られたが、この野市上井堰を含む6堰は昭和38年8月9日の9号台風による大洪水によって流亡し、取水不能となり、農業の継続の危機となりました。それまで度重なる災害に悩まされてきた各堰の土地改良区は、堰の統合案も検討されていましたが、この災害を受けたことで県営災害復旧事業によって一気に6堰統合が現実となり、一番上流の野市上井堰位置(香美市町田地区)に物部川統合堰が計画され、昭和41年に完成しました。この堰の管理者は6つの土地改良区からなる「物部川土地改良区連合」となり、県内有数の規模を持つ頭首工としてリニューアルしたのです。現在の受益面積A=1,370ha、コンクリート製堰 延長L=228m(土砂吐ゲート2門、取水ゲート3門含む)、幹線水路6.6km及びサイフォン1kmを管理しています。
(2)物部川土地改良区連合とは
土地改良区連合とは、土地改良法で認可された法人であり、土地改良法第77条では、「土地改良区はその事業の一部を共同で行うため、土地改良区連合を設立することができる。」とあり、農林水産省の定めるところによる定款等その他必要な事項を定めて、高知県知事の認可を受けた団体です。
物部川土地改良区連合の目的と事業とは
農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もって農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とする。この目的達成のため、事業として、
1.物部川から引水する、かんがい施設管理
2.かんがい排水施設並びに、これに関連する諸施設の新設及び復旧事業
を行っています。(物部川土地改良区連合の定款より)
組織概要
1.組織名:物部川土地改良区連合
2.所在地:〒781-5452 高知県香南市香我美町下分647
3.連絡先:電話 0887-55-2216
4.設立年月日:昭和40年10月9日(認可番号「高知連 11」
5.受益面積:A=1,370ha
6.組合員数:2,712人
7.代表者(理事長名):山本 實
8.構成土地改良区:以下参照
改良区名の後の( )は所在地市町村名 | |
物部川土地改良区連合 | 野市上井堰土地改良区(香南市) |
野市下井堰土地改良区(香南市) | |
吉原土地改良区(香南市) | |
南国市田村堰井筋土地改良区(南国市) | |
物部堰井筋土地改良区(南国市) | |
久枝土地改良区(南国市) |
(3)土地改良区連合(土地改良区含む)の特徴
土地改良区連合並びに土地改良区は、公共性・公益性が強い団体で、税法上も非課税団体に位置づけられていることに鑑み、透明性の確保をする観点から、より一層の適正な業務運営が求められています。また、受益地区内に耕作する者等の強制加入及び賦課金の強制徴収等が可能な公共的性格の極めて高い団体です。
当連合におきましても、上記の土地改良区と連携し、適正な業務運営を目指して日夜努力しておりますが、運営及び現場管理等において、お気づきの点などございましたら、事務局までご連絡願います。